後悔も謝罪もない

日本銀行の金融政策を決定する委員は日銀総裁を除き、金融を緩和して国民経済をよくするというリフレ派と、金融機関の安定を考える緊縮派が半々になっています。過去30年のマネタリーベースの伸びを見ると先進国で日本が突出して紙幣量が少ないのは誰も否定できない事実で様々な資料が揃っています。紙幣の量が少ないということは、その紙幣の価値が上がり円高を招きます。日本はマネタリーベースの伸びがない故、国民の所得がずっと横ばいのままなのです。多くの日本企業が競争に負けて潰れようが、国民の所得が一向に上がらないままであろうが、日銀にとっては天下り先の金融機関の経営安定が何より大事。要は、自分のことだけ考え自殺者が増えようがお構いなしでした。今の円安で日本企業が国際競争力を増す中、あいも変わらず足を引っ張り続けるつもりでしょう。下記は、その名残を引きずる二人。一人目は元住友銀行(現SMBC)出身の日本銀行政策委員会審議委員田村直樹。もう一人は審議委員を辞め慶応の教授になっている白井さゆり。共に金融機関の大応援団で言ってることは支離滅裂なのに作文がうまいかたがたです。理屈をこねていますが「なぜ2%のインフレターゲットなのか」すら審議委員をしていても説明もできないバカですからいい加減な話ばかりするのです。早い話、クズです。


物価見通し、上振れする確率高まっている-田村日銀委員一問一答

伊藤純夫、藤岡徹

2022年12月2日 0:00 JST

日本銀行の田村直樹審議委員は11月30日のブルームバーグとのインタビューで、経済・物価情勢や出口戦略を含む金融政策運営、長期化する金融緩和政策の副作用などに言及した。詳細は以下の通り。

-日本経済の現状認識と見通し

「景気は現状、持ち直しの動きが続いており、先行きも内需主導で持ち直しの動きが続くとみている。第一に旅行や外食、インバウンド消費などの回復や設備投資のペントアップ需要、第二にコロナ禍で積み上がった貯蓄、第三に供給制約下で増加した受注残、第四に供給制約の緩和といった押し上げ要因があるためだ。ただし、欧米の景気や国際金融資本市場の動向、ウクライナ情勢の展開や資源・穀物価格の動向、新型コロナ感染症の影響などのリスク要因に注意が必要だ」

-消費者物価の伸び

「資源価格の上昇と円安といったコストプッシュ要因と企業の価格設定行動の変化が相まって、消費者物価は上昇率を高めているが、先行きはコストプッシュ要因の押し上げ寄与のはく落に伴ってプラス幅を縮小していくとみている。ただし、減速ペースは緩やかなものにとどまり、比較的高めの上昇率が続く公算が大きい。来年度以降2%を下回る水準に低下するとみているが、これが上振れするサブシナリオの確率も高まっている」

「持続的な物価安定の目標の実現には賃金の動向がポイントになる。現状、高めの賃上げが実現される可能性が高まっている。理由は、総じて好調な企業収益や消費者物価の上昇、お互いに支え合う傾向の強いわが国の労使関係、労働市場の流動性の高まり、対面型サービス業を中心とした人手不足という要因があるためだ」

「経済のグローバル化の逆回転や効率性重視から安定性重視への企業行動のシフト、気候変動への対応といった持続的に物価押し上げにつながる変化もある。当面、物価の動向は予断なく謙虚に見ていく必要がある」

-賃金・物価の好循環

就任会見で賃金・物価の好循環がもうすぐかもしれないと発言したことについて「今の環境を見ると、あの時に思っていたよりも物価上昇率は高まっているし、それを受けた賃上げの機運も高まっているように感じている」

-当面の金融政策運営

「大規模緩和の導入から10年で、日本経済はデフレではないという状況を実現し、成長あるいは雇用の観点からも大きく改善した。一方、物価はゼロインフレ・ノルム(社会規範)が強く、安定的・持続的に2%目標を達成するところまでは至っていない」

「現状は資源価格の上昇という外的ショックによって物価が上昇する一方で、コロナ禍での貯蓄やペントアップ需要が景気を下支えしている稀有な環境にある。足元は、わが国経済をしっかり支え、物価安定の目標を実現するため、金融緩和を継続することが適当だ」

-金融政策の検証・点検

「目先は物価高が賃金や家計行動にどういう影響を与えるのか、この稀有な環境が物価と経済の好循環につながるのか、謙虚に予断なく見ていくべき局面だ。ただ、そもそも2%の物価安定の目標については、わが国の社会に根づく考え方や慣行と整合的なのかという議論もある」

「今後の物価や賃金、経済の動向を踏まえ、しかるべきタイミングで金融政策の枠組みや物価目標の在り方を含めて点検・検証を行うことが適当ではないかと考えている」

-タイミングと方向性

「しかるべきタイミングがいつかは、基本的に今後の物価や賃金、経済の動向次第であり、機械的にいつとか、こうなればという基準を定めることは困難だ。そうしたタイミングがもうすぐ来る可能性もあるし、もう少し先になる可能性もある」

「経済が稀有な環境にある中でこれから経済・物価や賃金がどのような動きを見せるのか、その状況次第で点検・検証をするべき局面が来る可能性があるということだ。点検・検証の結果によって金融緩和からの出口もあり得るし、金融政策の枠組みを見直す必要が出てくる可能性もある。あるいは、さらに粘り強く金融緩和を行っていくという結果になっていくかもしれない。点検・検証の結果次第で予断なく考えていく」

-出口戦略

「点検・検証の結果、金融政策の正常化が必要ということになれば、出口に向けた戦略や方針を金融政策決定会合で議論し、適切に情報発信をしていくことになろう。グローバルに歴史的な低金利が長年続いてきた中で、民間経済主体はさまざまな方法で収益の確保を図っており、ノンバンクを含めて思わぬところにリスクが蓄積されている可能性がある。また、債券市場の機能度、流動性の低下が指摘されており、経験のないような事象が顕在化するリスクも想定しておかなければならない」

「出口戦略を検討するにあたっては、市場にどのような影響を及ぼし得るのか、また市場参加者の備えが十分なのか確認を続けるとともに、適切なタイミングで出口戦略あるいはその前段階として出口の方向感や選択肢について、市場とコミュニケーションを取ることによって、市場参加者があらかじめ対応を検討し、備えておいてもらうことも金融市場の安定の観点から重要だと考えている」

ーフォワードガイダンスの見直し

「感染症の抑制と経済活動の両立が進んでいるが、わが国経済は依然として、感染症の影響を受けている。先行きも経済の下振れをもたらすリスク要因として注意が必要な状況にあることは変わらない。フォワードガイダンスの取り扱いについては、その時々の経済・物価情勢を踏まえて毎回の決定会合で適切に判断し、しかるべきタイミングで行われるであろう点検・検証の結果なども踏まえて考えていく」

-副作用対応

「大規模な金融緩和の主な副作用は、金融機関収益を圧迫し、金融仲介機能に悪影響を与える可能性と国債市場の機能度の低下がある。この点、現状では金融機関は充実した資本基盤を備えており、金融仲介機能は円滑に発揮されていると判断している。また、国債市場の機能度が低下している側面は否定できないが、国債補完供給の要件緩和などさまざまな手段が講じられている」

「この他、財政のモラルハザードもよく指摘されるが、財政については政府・国会において適切に運営されるべきものと理解している。また、本来市場から退出すべき企業を存続させ、経済の構造改革を遅らせたり、生産性に悪影響を及ぼしたりするといった指摘もあるが、この点は、市場原理の下で企業や金融機関などの経済主体に委ねられるべきものだ。あくまで金融は経済の黒子であり、大規模な金融緩和が、これらの事象をもたらした張本人というわけではないと考えている」

「ただし、長期にわたる大規模な金融緩和が、発揮されるべき市場原理の効果を抑えてしまっている面は否めない。こうした点も含めて、政策運営にあたっては常に効果と副作用を比較衡量しながら、最も適切と考えられる政策を実施していく必要がある」

-金融システムへの影響

「現状、海外金利の大幅上昇の影響を受けて、わが国の金融機関の有価証券ポートフォリオは外債や海外金利系の投信を中心に評価損が拡大している。もっとも、金融機関は全体として十分な自己資本を有しており、こうしたリスクが金融仲介機能や金融システムの安定に与える影響は今のところ限定的だとみている」

「日本銀行としてはストレス局面が長引く中で、各金融機関の損失吸収力の状況などについて丁寧に点検するとともに、海外の金融環境や国際金融市場の動向が与える影響について金融庁との連携も通じて質の高いモニタリングを効率的に行っていくことが重要だと考えている」


「2%物価目標」の賞味期限

幅持たせ柔軟に運用 慶応大教授 白井さゆり氏

2022年12月5日 2:00 [有料会員限定]

日銀が政府と共同声明をまとめ2%の「物価安定の目標」を導入してから2023年1月で10年になる。最近の消費者物価上昇率は3%台後半に上がったが、資源高や円安の影響が大きく、当初考えた需要けん引による目標達成ではない。想定通りにいかなかった10年の教訓を、導入に関わった関係者らに聞いた。

2011年に日銀審議委員に就いた当初から、2%インフレ目標を掲げたほうがわかりやすいと考えていたので、13年1月に目標の導入に賛成した。デフレ退治に向けやれることは全てやってみるべきだと判断していたので、同4月、目標に2年程度という期限を設け量的・質的金融緩和を実施する決定にも賛成した。

2年で達成できるかは不確かだったが、やってみてどうなるか見たいと思った。結果として需要が引っ張る好循環のなかで2%が実現するかたちにいまだにならないのは、所得増の期待が人々の間に広がらなかったからだろう。

中央銀行が2%を掲げれば人々の予想インフレ率も2%になるというほど単純でもなかった。一般には中銀の目標ではなく、足元のインフレ率を見て物価観を形成する。

ただし、インフレ目標のもとで思い切った緩和をした効果はあった。超円高は解消されデフレ圧力は弱まった。

今後も物価を2%程度に安定させたほうがいいという発想自体は捨てるべきではない。経済に構造変化が起きていてインフレになりやすくなっているようだからだ。新興国でも高齢化で生産年齢人口が減っており、供給制約が強まりやすい。地政学リスクや感染症の問題を背景にサプライチェーン(供給網)が混乱しやすくなっており、生産コストが上がりやすくなっているという点もある。

過去10年の経験を踏まえると、目標はピンポイントではなく、2%を含めたレンジにしたほうがよさそうだ。具体的な水準は現時点では言えないが、幅を持たせたほうが柔軟に政策を運営できる。

硬直的な姿勢で超低金利を過度に長期化させれば、市場機能が低下し、資産運用にもマイナスだ。日本の中立金利(経済を刺激も抑制もしない金利)は低く、今後も大幅な利上げは考えにくいので、幅を持たせた目標のもと景気循環に合わせてより柔軟に政策を調整するのがよいかと思う。複雑になった現在の金融政策の枠組みを市場・国民向けにシンプルにすることも重要だ。

(聞き手は清水功哉)

0コメント

  • 1000 / 1000