ダボスの敗退

20年ほどにわたり甘い汁を吸ってきた中核の一人がゲロりました。環境問題をでっちあげ、世界中に新たな投資を募り新経済を構築しようとしていた連中は、これからソソクサト逃避するでしょう。残りものが馬場抜きのルールです。ゲームは変わったのです。


ESG投資モデルは破綻 元ブラックロック幹部が語る

2022 年 11 月 15 日 13:56 JST

 テレンス・キーリー氏は米資産運用大手ブラックロックに約10年間在籍した後、一般的な認識とは異なる結論に達した。「ESG(環境・社会・企業統治)はうまくいかない」というものだ。

 キーリー氏は同社在籍時、中央銀行や財務省、ファミリーオフィス、政府系ファンドとの関係を醸成するグループの統括者を長年務めた。これら投資家の一部は政治家やアクティビスト(物言う株主)からの圧力にさらされ、ESG要素が不十分な企業への投資を避けようとした。ブラックロックは顧客が自らと同じ価値観を持つ企業に資金を振り向けるのを支援した。

 キーリー氏は、ESG戦略がリターンの創出で信頼できるものでもなければ、変革に向けた真の起爆剤でもないことが明らかになった、と述べた。同氏は新著「Sustainable: Moving Beyond ESG to Impact Investing(サステナブル:ESGを超えてインパクト投資へ)」の中で、投資家はESG指数から「持続的な環境・社会問題を抱える企業」に資金を移し、そうした企業に変革を促すべきだと主張している。

 言い換えると、環境汚染企業に資金を与え、その尻拭いをさせるということだ。

 投資戦略や変革の推進力としてのESGモデルについては、まだ議論の余地がある。米資産運用大手バンガード・グループの調査担当者らは、ESGファンドと非ESGファンドの15年間のリターンを比較した結果、有意差はないと判断した。英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)と米コロンビア大学の研究員らによると、ESGファンドの投資先企業は非ESGファンドの投資先企業よりも労働・環境規則の順守状況が悪かった。

 ブラックロックの広報担当者は電子メールで、「顧客がさまざまな投資方法を選択しており、当社ではそれぞれの好みや目標に応じて幅広い選択肢を提供している」と述べた。

 キーリー氏は今年7月にブラックロックを退職した。同社はESGモデルをすぐには捨てない可能性が高い。ただ、同氏の新著は、サステナブル投資ブームに乗じている企業の中で静かな議論があることを示唆している。しかもこれは、世界最大の投資家であるブラックロックが、化石燃料企業への投資抑制が行き過ぎ、あるいは不十分だとして、気候変動論争の両側の政府高官から批判を浴びる中でのことである。

 ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は、エネルギー移行関連の投資が巨大な可能性を秘めているとの見方を示している。同社はこの点に関しては主に、投資家がESG評価の低い企業を排除するのではなく、ESG評価の高い企業により多くの資金を振り向けられるような商品を開発することに軸足を置いている。

 ブラックロックは昨年、ETFを2本(米国型とグローバル型)立ち上げた。目論見書によると、「低炭素経済への移行による恩恵を受けやすいと思われる」企業が投資対象となっている。

 両ETFは計15億ドル余りを調達した。米国型ETFの方は史上最大のETFローンチとなった。

 ブラックロックは一部の化石燃料企業を敬遠している。同社は2020年初めにアクティブ運用のポートフォリオについて、一般炭生産による売り上げが売上高全体の25%超を占める企業の株式を売却すると発表した。

 同社は顧客宛ての書簡で、「当社では、このセクターでの継続的な投資を正当化する長期的な経済合理性あるいは投資合理性はないと考えている」と表明した。

 その当時、キーリー氏はブラックロックのシニアアドバイザーとして、ビル&メリンダ・ゲイツ財団やノートルダム大学基金などの顧客を個人的に管理していた。同氏はこの一般炭に関する決定に反対だった。

 キーリー氏は新著の中で、火力発電用の一般炭が「最も環境破壊的な電力源であることは間違いない」ものの、「アジアの大半の地域では今なお最大の電力源である」と述べた。

 ブラックロックの元幹部がESG投資のメリットに関して同社と対立したのは、キーリー氏が初めてではない。

 同社のサステナブル投資部門の最高経営責任者(CEO)を務めたタリク・ファンシー氏は、2021年8月にメディアムへの寄稿で、そもそも「ESGの将来性」に引かれて入社したと述べた。同氏は、資産運用業界のESG推進が「危険な蜃気楼、すなわち貴重な時間を浪費する砂漠の真ん中のオアシスに世界を導いている」と確信し、2019年にブラックロックを退社した。

 ファンシー氏は投資家ではなく政府が気候変動対策を主導すべきだと述べた。キーリー氏は、今とは違う形で市場が大きな役割を果たすとの見方だ。

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