これから起きようとすること

下記はWSJの記事。現在進行中の円安への「一つの見方」です。簡単に説明すると、アメリカやEUが金融緩和を終え利上げに動く中、日本はインフレターゲットを未達故に金融緩和を継続。その政策は正しいのですが、金利差があるために為替が動き円安になっていますというのが正統派の判断。これすらわからないのであれば、一から勉強しなおしてください。大きな視点で言えば総ドル量に対し総円量が多いために交換比率が下がって円安になっているのです。仮に、下記の時期にあるように、壊死による日本株買いが起きるなら結構なことです。外資は経営陣に圧力をかけ「寝ぼけた日本企業風土」に風穴を開けるまで許さないとします。すると経営陣は規制に縛られているせいだと喚き始めるでしょう。今の地位は「規制に守られることで得た」ということを忘れ役所のせいにするのです。持ちつ持たれつだったのが現実です。さあ、これからピリピリした時代が始まります。円安はその号令に過ぎません。きしださんは昼行燈ですから号令も聞こえないでしょう(笑)。


【社説】驚くべき円安

対ドル相場は1998年以来の安値

2022 年 6 月 14 日 11:32 JST

 13日の世界金融市場では「弱気相場」が主題となったが、日本の円を最大の負け組に含めることを忘れないでほしい。円相場は週明けに一時1ドル=135円台に下落し、1998年以来の安値を付けた。この下落には明らかな歯止めがないため、さらなる下値リスクに注意したい。

 分別のある年齢の者なら、円相場が125円を割り込んだことが懸念材料と指摘されていた2カ月前のことを思い出せるはずだ。日銀の黒田東彦総裁は、日本の基準で見ても金融政策ではハト派だが、円安が日本経済にプラスではなくマイナスの影響を与え始める可能性があるのはこの水準だと警告していた。

 しかし黒田氏はそれ以降、円相場の下限とされるこの水準を守るための対策を何も行っておらず、他の誰もそうしていない。同氏は13日、急激な円安は「望ましくない」と認めたが、日銀はマイナス金利政策と10年国債利回りの上限0.25%を維持している。インフレ率は現在2.5%と、日本の基準からすると高い水準にある。円安による輸入価格の上昇、特にエネルギー価格の上昇が主な理由だ。

 黒田氏や岸田文雄首相率いる政府を注視している投資家は、円安を抑制するものは何もないと結論付けたとみられ、そのため、円相場が下落している。日本政府は、米国の金利上昇に伴って円安に進もうとするノーマルな市場の傾向を野放しにしている。

 黒田氏の行動へのためらいは恐らく、インフレの芽を摘むことに恐怖を抱いていることから生じているのだろう。彼をはじめとする日銀の政策担当者は、過去20年間をデフレの亡霊を払いのけようとすることに費やしてきた。同氏はまた、政府債務が国内総生産(GDP)比で250%を超えているだけに、インフレ抑制のために利上げすれば、日本政府の財政が前例のないほどに圧迫される可能性があることを認識している。

 しかし、新たな円安インフレで、生活の圧迫以外に日本がどんな影響を受けるかを予測することは困難だ。生活必需品の価格上昇は著しい。生鮮食品の価格は12.2%、電気料金は21%上昇しており、低所得世帯が深刻な打撃を受けている。4月の実質賃金は1.2%低下した。

 一筋の希望は、円安が日本への新たな投資、とりわけ海外からの合併買収(M&A)の新たなうねりをもたらすきっかけになる可能性があることだ。野村ホールディングスの奥田健太郎グループ最高経営責任者(CEO)は13日、英紙フィナンシャル・タイムズとのインタビューでそうした見解を明らかにした。同氏は、海外の投資家たちが、東芝など古風な体質の企業に刷新を求めた物言う外国人株主(アクティビスト)の最近の一部の成功例に勇気づけられているかもしれないとの見方を示した。外国資本は対象企業に新しい、より優れた経営をもたらす一方、他企業の役員に対し、経営を改善させなければ自社が買収対象になりかねないという圧力を強める材料にもなるだろう。

 日本政府内外のエコノミストは長年、インフレの高まりが経済を押し上げると主張してきたが、インフレが現実となったいま、その主張が誤りであることが明らかになりつつある。日本経済の課題は、お役所仕事や慢性的な経営判断の誤りによって締め付けられている企業を改革することで生産性の伸びを促進することだった。円安が偶然にもその達成の手助けになるのであれば、それは「嵐の中の港(窮余の策)」と言えるかもしれない。

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