とうぜん日本でも
下記はWSJのコラムで、仲が良かったウクライナとチャイナの関係も平気で裏切るチャイナに関する記事です。日本の防衛省でも購入していたドローンです。当然、日本も裏切られます。コストが安いと手を出したものは、結局、高くつくというのが習わしでしょ。
ウクライナ保有の中国製ドローン、露をほう助?
中国DJI製のドローンがウクライナの軍や民間人にとって安全保障上の脅威になっているとの疑い
ウクライナ上空では目下、米スタートアップ企業が製造する数百の小型ドローンが飛び交っている。生存者の捜索やロシア軍の潜伏場所を洗い出すことが目的だ。
シアトルのブリンク・ドローンズ(BRINCドローンズ)やシリコンバレーのスカイディオといった米新興ドローン企業は、ウクライナで生じた空白を埋めるため製品の供給を急いでいる。世界最大の商用ドローンメーカー、中国DJI製のドローンがウクライナの軍や民間人にとって安全保障上の脅威になっているとの疑いが生じているためだ。
ウクライナ当局者は、DJIドローンの技術的な欠陥は意図的なもので、同国軍の防衛能力を阻害する狙いがあった可能性があるとし、DJIドローンの使用を制限するよう求めている。他方で、ロシア軍が同じDJI製品を使って成果を上げている点についても、懸念を示している。
DJIはロシアの攻撃を支援し、ウクライナ向けの供給に操作を加えているとの疑惑を否定。同社の広報担当は、一般消費者向けドローン製品を軍事目的で販売することは禁じており、戦闘地での同社製ドローンの使用は不適切だとコメントした。在ワシントンのロシア大使館はコメントの要請に応じていない。
ブリンクは先月以降、ウクライナにドローン10機を無償提供するとともに、国防支援の目的でおよそ50機を売却した。ウクライナ非常事態庁の職員やヘリコプターの操縦士が生存者の捜索救助や諜報(ちょうほう)収集に活用している。同社のブレーク・レシニック最高経営責任者(CEO)が明らかにした。スカイディオのアダム・ブライ最高経営責任者(CEO)も、ウクライナ国防省に数十機のドローンを無償提供したほか、ウクライナを支援する非政府組織や各国政府に数百機を売却したと述べている。同社はウクライナへのドローン供与を担当する専門チームを立ち上げた。
これまで日の目を見る機会がほぼなかった米新興ドローン企業は、紛争地で自社技術の優位性を示すことに意欲を燃やしている。収益の拡大に加え、ベンチャーキャピタル投資や米政府の支援を呼び込む狙いがある。民生用ドローン市場は数年にわたり、DJIの独壇場が続いており、競合勢が切り込む余地はほとんどなかった。業界首脳やコンサルタントらへの取材で分かった。これまで複数の米スタートアップ企業が、ウクライナにドローンやドローン防衛システムを無償提供、あるいは売却したと話している。偵察や諜報収集、戦争犯罪の画像確保を通じて、ウクライナの防衛を支援することが目的だ。
ウクライナ軍に支援を提供する非政府組織「エアロロズビドカ」も、DJI製に代わってスカイディオ製のドローンを購入した。スポークスパーソンが明らかにした。ウクライナ首都キーウ(キエフ)と西部リビウで店舗を展開するドローンディーラー、タラス・トロイアク氏も、スカイディオ製のドローンを試験的に購入し、今後さらに注文する方針だと話す。同氏は長年、DJI製ドローンを販売してきたが、今後はスカイディオ製に在庫の一部を入れ替え、DJI製ドローンは軍に譲渡したという。同氏はDJIとの関係を絶った。
トロイアク氏は自身のビジネスで販売するドローンについて「将来の購入分に中国製ドローンは含まれない」と述べた。DJIの広報担当はトロイアク氏との対立についてコメントを控えた。
ウクライナ政府関係者やトロイアク氏は、他のドローンやその操縦者の特定・追跡を目的とするDJIのドローン検知システム「エアロスコープ」の多くに欠陥があったとして不満を示している。エアロスコープはウクライナ全土に配備され、中には重要インフラの防衛を任務とするものもあった。ウクライナ政府関係者とDJIはこれら複数のシステムについて、開戦時にスイッチが入らない状態にあったと話している。こうした経緯から、ウクライナ側では、DJIが地政学的な動機から、ロシアのドローンが自由に飛行できるよう、ウクライナのシステムを不正に操作した可能性があるとみている。
DJIの広報担当は、開戦前にウクライナの一部エアロスコープで機能不全があったことは認識しているとした上で、修理を試みており、自社製品を不正操作したことはないと主張した。
一方、ウクライナ当局者によると、ロシアは同じエアロスコープを使って、ウクライナのドローンやパイロットに対して正確に攻撃を加えることができた。ウクライナ国家特殊通信・情報保護局(SSSCIP)は報告書で「DJIはロシアの攻撃をほう助している」と指摘した。
ウクライナ兵士はDJI製ドローンをWi-Fiやモバイルネットワークに接続しないよう指示された。内情に詳しい関係筋が明らかにした。SSSCIPの報告書によると、ウクライナ政府はDJI製ドローンは安全が完全に担保できないとして、他国で稼働中のものや購入分をすべて使用停止とするよう推奨している。
軍や治安当局を主要顧客とする米新興ドローン企業は、安全面での優位性を強調している。スカイディオ製およびティール・ドローンズ社製のドローンの位置情報とデータは、軍事レベルの高度な暗号化技術によって守られている。ティール幹部によると、同社はソルトレークシティの工場からウクライナにドローン15機を送った。ブリンクのレシニック氏は、同社のドローンは全地球測位システム(GPS)ではなく、レーザー光の反射を利用して周辺の物体との距離を測る技術「LiDAR(ライダー)」を使って飛行すると説明した。そのためロシアの対ドローンシステムによる追跡を難しくするという。
米ユタ州のフォーテム・テクノロジーズが手掛ける防衛ドローンは、上空から敵のドローンを排除する仕組みになっている。またレーダーを使って自律飛行できるため検知されにくいという。同社のティモシー・ビーンCEOが明らかにした。フォーテムはウクライナ国防省からの受注を受け、複数の防衛ドローンシステムを今月送ったという。サンフランシスコのデドローンも、ウクライナで使用される対ドローンシステムを海外に出荷した。内情に詳しい関係筋が明らかにした。同社のアーディトヤ・デバラコンダCEOはコメントを控えた。
ウクライナ国防省は米国製ドローンと対ドローンシステムの利用に関する問い合わせについて、回答に応じていない。
スタートアップ企業の中には、並々ならぬ努力を払って自社の技術をウクライナに届けているところもある。ブリンクのレシニックCEOは3月、すでに顧客から受注していた販売業者から自社在庫をすべて買い取り、これをウクライナに送った。またレシニック氏は元国防総省の幹部で、自身の右腕であるアンドリュー・コート氏とインストラクター2人に加わり、ポーランド北西部で行われたウクライナ操縦士と救助隊向けの15時間にわたる訓練にも参加した。ブリンク製ドローンは市街戦に強いとレシニック氏は話している。窓ガラスを割って室内を飛行でき、上空から落とされても右側の機体部分を自ら引き上げ、再び飛行できる仕組みになっているという。
ウクライナでの紛争におけるDJIドローンを巡る疑惑はかねてくすぶっていた米国の安全保障上の懸念を一層強めることになった。政策担当者や規制当局からは、明らかに軍事転用の恐れがある商用技術を中国が支配することに警戒する声が出ていた。米連邦通信委員会(FCC)のブレンダン・カー委員(共和党)は、今回のウクライナでの問題により、DJIに対する制裁を強化する必要性が高まったとの認識を示している。
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