公取&独禁法

GAFAの中で唯一利用しているAmazon。アカウントは変わっていますがAmazonが起業し、毎年膨大な赤字を繰り返しながらも株価は急上昇していた頃から利用している唯一の要因は利便性だけです。もう、おかしなくらいの品ぞろえですから、リアル店舗はみんなAmazonに喰われていくだろうなと思った通りになってしまいました。

ただ、ビジネスの進め方は「合法スレスレ」ではなく、明らかに『違法』を繰り返しており、いずれ解体に向かうだろうというのが20年ほどAmazonを見てきた感想です。下記の記事も明らかな「圧力取引」と「独禁法違反」で、アメリカ司法の独禁法の不備が露呈しています。因みに、これは日本では明らかな公取案件で通用しません。日本の楽天が公取の監視を受けているように、こういうネット企業の本質は『弱肉強食』を地で行くものですから、公取案件に関わる経営者の感度が鈍いのです。



アマゾンの業者提携、契約に株式取得のからくり

契約の一環でワラント付与を要求

 米アマゾン・ドット・コムを自社製品やサービスの顧客として取り込むことを望むサプライヤーは、取引に仕掛けがあると気づくかもしれない。その仕掛けとは、アマゾンがサプライヤーの株式を大量に、場合によっては時価を大幅に下回る価格で取得する権利だ。

 アマゾンは上場企業少なくとも12社と、株式を購入する権利(ワラント=新株引受権)を含む契約を結んでいる。これにより将来、時価を下回る可能性のある水準でサプライヤーの株式を取得することができる。証券当局への届け出や関係者へのインタビューで明らかになった。

 事情に詳しい関係者によると、アマゾンは過去10年に75社以上の非上場企業と同様の契約を結んできた。コールセンターから天然ガスまで多様なサービスを提供する企業を巡り、アマゾンの出資や出資可能性のある金額は、全体で数十億ドルに上り、場合によってはアマゾンが企業の大株主となることもある。

 こうした異例の契約は、アマゾンがいかに市場での影響力を利用し、自らの富と力を増しているかを示すさらなる例となる。提携先を含めたアマゾンの競争慣行を巡っては、規制当局や議員からの追及が強まっている。

 こうした取引は、サプライヤーにとっては大型契約の確保という恩恵があり、株価の上昇につながる可能性もある。半面、数社の幹部は、大型契約をリスクにさらすことなしには、アマゾンからの株式引受権の要求を断ることはできないと感じたと述べている。一部の契約では、アマゾンは取締役を送り込んだり、他社からの買収提案に優先したりする権利を得ている。

 アマゾンは頻繁に、その規模と影響力をテコにして自社に有利な契約条件を強いている。例として、自社のある事業の提携先に他のサービスも契約させる、傘下のベンチャーキャピタルファンドを通じて新進気鋭のテクノロジー企業を発掘する、サイト内の小規模な販売業者と競合するアマゾンブランドの売れ筋商品を作る、などがある。ライバル企業から市場シェアを奪うために強気の競争を展開してきたが、それによって買い物客が得をすることになるとアマゾンは述べている。

 アマゾンはワラントを含むサプライヤーとの取引で、多くの企業は断らないと承知の上で、有利な条件を引き出すために力を振りかざしている。取引に関わったアマゾンの元幹部らが明かした。

 アマゾンの広報担当者は、商業契約で取得するワラントについて、通常はサプライヤーからの大量購入など、アマゾンが達成すべき目標に結びつけられていると述べた。個別の取引やワラントを行使した数、あるいはそうした契約で得た金額などについてコメントすることは控えた。ワラント契約は同社が締結する商業契約の1%未満だという。

 食品流通のスパルタンナッシュ(ミシガン州グランドラピッズ)は昨年、アマゾンとの契約を修正し、「アマゾン・フレッシュ」部門に食料品を納入することになった。同社は2016年からアマゾンに食料品を供給していたが、アマゾンは今回、ある条件を追加した。アマゾンが7年間で80億ドル(約8800億円)相当の食料品を購入すれば、スパルタンナッシュ株の約15%を取得するワラントを獲得できるという条件だ。株式の取得価格は時価を下回る可能性もある。アマゾンはさらに、スパルタンナッシュへの買収提案があった場合には通知を受け、対抗案を提示する10日間の期間を与えられることを望むとした。

 スパルタンナッシュの幹部は困惑したと関係者は言う。このような条件を要求してきた顧客はそれまでなかった。関係者の1人よると、幹部らは最終的に、最大級の顧客と条件交渉でもめたくはないと判断。アマゾンとのつながりは自社の知名度アップにつながるかもしれないと考えた。契約の発表に伴い、アマゾンはスパルタンナッシュのワラントを受け取った。行使すれば同社株の2.5%を得ることになる。契約条件によると、追加の12.5%分のワラントを受け取って行使すれば、アマゾンはスパルタンナッシュにとり、資産運用会社ブラックロックに次ぐ第2位の株主となる。

 スパルタンナッシュの広報担当者はコメントを控えた。

 アマゾンは10年ほど前から、サプライヤーとの間でこうした取引を行ってきたが、ここ数年で積極的に数を増やしている。取引の仕組みづくりに携わったアマゾンの元幹部や弁護士が明らかにした。直近の四半期報告では、ワラントの評価額は28億ドルと、3年前の5倍以上になっている。アマゾンはワラントを行使した結果として所有する株式の価値は開示していない。

 アマゾンの当局向け四半期報告によると、ワラントや直接的な投資、その他の方法で保有する株式を示す広範な目安は、同期間に10倍の84億ドルに増加した。

ワラントはストックオプションと同様に、一定期間に一定の価格で企業の株式を購入することができる。株価が行使価格を上回った場合、ワラント保有者は時価を下回る価格で株式を購入することができる。

 アマゾンの広報担当者は、他社がワラント契約を結んだ例をいくつか挙げている。ウォルマートは2017年、アマゾンが燃料電池メーカーのプラグ・パワーとワラント絡みの商取引を行った数カ月後に、プラグ・パワーのワラントを獲得した。ウォルマートの広報担当者によると、ウォルマートが他社のワラントを取得することは非常にまれだという。プラグ・パワーはコメントを拒否した。

 サプライヤーによっては、アマゾンへのワラント付与について、競争力を高める価値があると考える企業もある。天然ガス供給会社のクリーン・エナジー・フューエルズは今年に入り、アマゾンと契約を結んだ。これによりアマゾンが向こう10年で同社株の20%を取得し、第2位株主になる可能性がある。関係者によると、クリーン・エナジーはそれまで、顧客にワラントを付与する商業契約を結んだことはなかった。だが、アマゾンが天然ガス他社に大規模な提案要求を出していたことに加え、クリーン・エナジーはワラントに関する条件を受け入れることで、アマゾンが競合との取引を増やすのを防ぐことができると考えたという。関係者によると、契約条件の一環として、クリーン・エナジーは買収提案を受けた場合、アマゾンに通知しなければならない。クリーン・エナジーはコメントを控えた。

 アマゾンが上場サプライヤーと初めて大型ワラント契約を結んだのは、2016年。アマゾンは巨大な物流ネットワークを構築するため、貨物機を持つパートナーを求めていた。内情を知る関係者によると、アマゾン幹部は、パートナー候補がいずれも業績不振で知名度の低い中小企業ばかりであり、アマゾンからの大口契約があれば、その企業の株価が活性化すると考えた。アマゾンはその潜在的な上振れ余地の一部を手にしたがっていたという。

 アマゾンはオハイオ州の航空機リース会社エア・トランスポート・サービシズ・グループ(ATSG)にワラントを含む契約を提案した。関係者によると、ATSGは当初、ワラント条項を拒んだ。同社チームはシアトルに飛び、「張り詰めた長い交渉」を行ったが、アマゾンはATSGにこの仕組みを承諾させた。関係者の1人が明らかにした。この人物は「かなりの説得が必要だった」と語った。アマゾンは現在、ATSGの株式約19.5%を保有し、筆頭株主となっている。

 ATSGの広報担当者からコメントは得られていない。

 アマゾン幹部は、配送業務の爆発的な増加に対応するためには、さらに多くの航空機をリースする必要があると認識していた。初のワラント契約を結んだことで幹部は勢いづき、他社にも同様の条件を要求するようになったと関係者の1人は語っている。

 航空貨物輸送大手アトラス・エア・ワールドワイドとの交渉では、同様の条件で10年間のリース契約を持ち掛けた。5年間でアトラス株の最大20%を取得できるワラントで、アトラスとの取引規模に応じて後から10%を追加するオプションが含まれた。アマゾンはさらに、一定の目標を達成した後、アトラスの取締役を選出する権利を得ることも求めた。

 両社の関係者によると、ワラントはアマゾンがアトラスと提携する条件となっていた。関係者の1人は「同意しなければ取引は成立しないという意識があったのは確かだ」と語った。アトラスの幹部は、アマゾンから収益を得る機会を逃したくないと考え、諦めてワラントを付与することがアマゾンとの取引の代償だとみなしたという。

 2016年5月に契約を発表した際、アトラスは資本提携を含むこの合意を称賛。その日、アトラスの株価は27%急騰した。アマゾンが上場サプライヤーとワラント取引を行うと、こうした急騰がしばしば起こる。スパルタンナッシュの株価は、アマゾンとの合意を発表した日に26%跳ね上がった。

 アトラスのワラント行使価格は37.50ドルで、合意発表前の株価をやや下回っていた。アトラスの広報担当者によると、アマゾンはその後、アトラス株の9%に相当するワラントを行使し、その株式を売却した。アトラス株売却で得た利益についてアマゾンからコメントは得られていない。

 アトラス株は28日、67.31ドルで取引を終えた。

 アトラスの広報担当者によると、同社は同様の取引を行ったことはない。アマゾンがアトラスの取締役を指名することもなかったという。

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