不都合な真実

近隣国の経済が悪化すると日本の株式市場へ流入するマネーが増え、結果として、日本の実力如何に関わらず株価が上がります。逆もしかり。日本の経済が悪化して株価が下がると、チャイナや韓国の株が上がるのです。親中の方々は「手を携えて共に発展しよう」というようなお伽話を語りますが、マーケットに勝者は一つ。共にというのはバカな幻想です。


「中国離れ」が支えるアジア株式市場

中国経済の苦戦が日本などの株高の一因に

2023 年 7 月 11 日 07:36 JST

 今年は中国株の不安定な値動きが、アジア他市場にとって朗報になっている。

 中国はかつて、グローバル投資家にとってアジアで最も投資妙味のある株式市場だった。だが世界第2位の経済大国が低迷するにつれ、投資家の目は他市場に向いた。中国本土の最大手企業を多数含む香港のハンセン指数は年初来の下げ幅が6%を超えた。日本、韓国、台湾の主要株価指数はいずれも2桁の上昇率を示している。

 ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズでアジア配当収入戦略担当の共同ポートフォリオマネジャーを務めるサット・ドゥーラ氏は「中国離れが相当進んだ」と語る。

 その恩恵を最も受けたのが日本だ。日経平均株価は年初から23%超値上がりし、約30年ぶり高値で取引されている。1月以降の海外機関投資家の日本株の売買動向は、333億ドル(約4兆7000億円)の買い越しとなっている(ゴールドマン・サックス調べ)。

 バリュエーション改善を狙った東京証券取引所の市場改革や、日本経済にようやく好転の兆しが出ていること、さらには米著名投資家ウォーレン・バフェット氏の日本株大量取得による後押しが、投資家を日本の株式市場に引き寄せる要因になっている。だが中国市場の後退が支援材料になっているのも明らかだ。

 ユニオンバンケールプリヴェ(UBP)のシニアポートフォリオマネジャー、ズヘア・カーン氏は「今回の(日本株の)上昇は中国(の低迷)という側面が大きい」とし「日本が再び脚光を浴びているのは、急成長している超魅力的な投資機会がすぐ隣にないからだ」と分析する。



 インド株式市場では4-6月期に外国人投資家が136億ドルの買い越しに転じた。その影響もあり、主要株価指数のニフティ50指数とセンシティブ指数(SENSEX)は、1月に下落したにもかかわらず年初来では約7%高となっている。

 一部投資家は今年、中国などもっと割安な市場があるとの見方を示し、インド株のバリュエーションに疑義を唱えた。それでも買い需要は旺盛だった。空売り筋の米ヒンデンブルグ・リサーチが複合企業アダニ・グループの不正疑惑を指摘した際にもインド市場に注目が集まったが、この騒動がインド株全般への売りにつながることはなかった。アダニは疑惑を否定している。

 一方、外国機関投資家は今年、香港取引所との相互取引(ストックコネクト)を通じて中国本土株を258億ドル買い越したが、ここ3カ月ほどで売りに転じたとゴールドマン・サックスは指摘する。売越額は4-6月期で3億ドル、7月は第1週だけで13億ドルに膨らんでいるという。

 米アップルの主要サプライヤーである台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業などの多国籍企業は、サプライチェーンの多様化を求めて中国に代わる製造拠点を求める傾向を強めており、インドはその受け皿になっている。政府のインフラ投資計画も相まって、14億人の人口を抱える同国で雇用は増える見通しだ。

 また台湾と韓国の株式市場では、台湾加権指数(TAIEX)が18%、韓国総合株価指数(KOSPI)がおよそ13%、年初来で値上がりしている。外国人投資家の買越額は台湾で96億ドル、韓国で82億ドルに上っている。


 両指数が上昇した理由の一つは、人工知能(AI)の台頭で半導体業界に新たな機会(多少の頭痛の種も)が生まれ、半導体製造への注目が高まったことにある。足元で米中間の貿易摩擦の火種になっているのも半導体チップだ。

 アナリストによると、アジア全般の株高にはリスクが存在する。例えば日本株の大幅上昇をけん引する海外勢が、早晩他市場に移るのではないかとの懸念がある。また、中国株は値下がりが続けば投資妙味が高まるだろう。MSCI中国株指数の一年先の株価収益率(PER)は6月末時点で10.09倍。これに対し新興国全般を含むMSCIエマージング・マーケット・インデックスのPERは12.08倍だ。

 ゴールドマン・サックスのアジア太平洋株式ストラテジスト、スニル・コール氏は中国株について「回復の余地がある」と語る。金融緩和、地政学的緊張の後退、中国企業の業績改善がムード改善につながるとの見方だ。

 最大の疑問は中国経済の方向性だ。最近の経済指標はゼロコロナ政策からの回復がいかに困難かを浮き彫りにしている。政府発表によると、6月には製造業購買担当者指数(PMI)が3カ月連続で業況縮小を示したほか、雇用も減少した。

 一方、野村アセットマネジメントで日本株アクティブ運用担当最高投資責任者(CIO)を務める村尾裕一氏は、中国経済が回復し始めたことがより明確になれば、投資家は中国株に戻っていく可能性が高いと指摘している。

[訂正]第6段落の、ユニオンバンケールプリヴェ(UBP)の日本株ストラテジスト、ズヘア・カーン氏の肩書を、シニアポートフォリオマネジャーに訂正します。

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