相変わらずの日経クオリティ
相変わらず日本経済新聞の経済音痴は酷い有様です。そういうことじゃないんですよ。大手企業の役割は、税金を払う、雇用を増やす、国力に寄与するの3点です。SBのやっている投資企業としてのやり方は、全く日本の国益に寄与していないのに、税のギャップを突いたテクニックで税金も払わず焼け太りしてきたということです。一般の国民が何を思うかなど関係ありません。税制論議の先に見え隠れする財務省の思惑の方が問題です。
法人税課税15年で4回 ソフトバンクG、識者の見方は
2022年8月20日 5:00 [有料会員限定]
ソフトバンクグループ(SBG)に法人税が課されたのが過去15年で4回だったことが、日本経済新聞社の取材でわかった。ソフトバンクなど傘下の事業会社は年間数千億円の法人税を支払う年もあるが、持ち株会社のSBG単体に課せられる法人税はゼロの年も続くなど極めて少ない状態だ。税負担が軽い背景や日本の税制の課題について、専門家に聞いた。
「庶民感覚とズレ、税制に見直し余地」 筑波大学教授 本田光宏氏
筑波大の本田光宏教授
――SBGが法人税を負担したのは15年間で4回だった。
「子会社からの配当が収益の多くを占める純粋持ち株会社の場合、法人税があまり発生しないことがある。親会社が受け取る配当金は、既に課税済みの子会社の利益が原資のため、二重課税にならないように基本的に益金不算入としているからだ。世界的にも法人から法人への配当には課税しないのが原則の考えだ」
「会計上の利益が大きくても法人税負担は少ないSBGは、(税務上の利益と会計上の利益が異なる)『税会不一致』の典型といえる。外形標準課税などは支払っており、納税義務も果たしている。ただ庶民感覚から外形的にみると、釈然としない部分はあるのだと思う」
――問題はないのか。
「現在の制度では、関係会社からの配当利益をどこまで非課税(益金不算入)とするかは、持ち株比率によって異なる。例えば持ち株比率が5%の国内企業からの配当は、その20%が非課税となり、3分の1超を持つ企業からの配当は全額が非課税。海外子会社は、持ち株比率が25%以上なら配当の95%が非課税となる。線引きが妥当なのか、議論する余地はある」
「戦後に制度が導入された当初は法人間の配当は全て非課税だった。『投資目的で株を持つ場合もある』などの理由で、段階的に非課税対象を引き締めてきた経緯がある。今後、さらに見直すのも選択肢のひとつだ。『完全子会社からの配当金だけ非課税にすればいい』との意見もある」
――かつてSBGは英アーム株のグループ内取引を巡る節税手法が問題視され、「ソフトバンク税制」と呼ばれる制度が導入された経緯もある。
「税制は時代とともに少しずつ直されてきた。個々のルールはおかしくなくても組み合わせると問題が生じることがある。難しいところだ」
――大企業が納税情報を自主的に開示する動きもある。
「適切な納税を示す『税のガバナンス』の一環といえる。ステークホルダーや当局などは関心を持って見るだろう。公平な税制に向けた建設的な議論にもつながる」
(聞き手は宮川克也)
ほんだ・みつひろ 1984年東北大卒。同年、国税庁入庁。大蔵省(現財務省)主税局課長補佐や国税庁国際調査管理官を経て2006年から経済協力開発機構(OECD)出向。12年から筑波大学教授。専門は租税法。
「グローバル企業、税負担の最適化は当然」 税理士・山田典正氏
山田典正税理士
――SBGの法人税負担が少ないことに対する評価は。
「SBGは投資会社であり、単体の収入は基本的には配当金が多いと思われる。配当は既に課税済みの利益を原資としており、それらに課税されないのは二重課税の排除という意味でまっとうだ」
「一方、かつて英アームの株式を使って税務上の損失を発生させた手法は行き過ぎた節税にもみえた。違法な処理ではないが、ルール通りでも問題があるなら、ルール自体を変えるべきだ。事実、その後、税制改正が実施された」
――SBG単体の収益の多くは非課税の受取配当金だ。
「違和感は全くない。税の世界では、経済的な実態は同じでも、資本関係や収益の種類によって課税されたり、税負担が大きく減ったりすることが起こりうる。資金の流れや会社の仕組みで、あえて課税されるような形式にすれば株主から問題視されかねない。税負担の最適化を求めて検討するのは当然だ」
「SBGのようにグローバルで投資を行う企業なら、世界全体でどこに投資をし、どう税負担を最適化するかを常に検討しているだろう。日本ばかり意識しているわけではないのではないか」
――SBGは税務情報の開示を強化すべきか。
「SBGが7月に公表した税務ポリシーは形式的な内容という印象だ。投資家が求めるのであればさらに情報を開示すべきだろう。社会貢献という観点から、どのような納税方針を持っているかや納税情報の国ごとの内訳を示すことも考えられる。投資家の判断材料にもなる」
「利益があるのに税負担が生じていないのなら、その理由の説明があってもいい。ただ納税額が多ければ良いとは限らない。過度な納税は株主の利益を損なう恐れもある」
――法人税の制度見直しにつながる可能性はあるか。
「国内子会社からの配当が非課税という制度が大きく変わるとは考えにくい。海外子会社からの配当に関しては議論の余地があるだろう」
「日本は問題があるたびにルールを細かく変え税制が複雑になっている。よりシンプルな制度を目指すべきだ」
(聞き手は鈴木亘)
やまだ・のりまさ 2005年法政大卒。08年アクタス税理士法人入社、13年税理士登録し15年に独立。アンパサンド税理士法人代表税理士。大手・中小企業の税務相談や経営コンサルティングを手掛ける。
税情報の説明、社会の要請に
かつて日本には「長者番付」と呼ばれる制度があった。税負担が多い個人や企業名が示され、ある程度税の透明性が確保されていた。番付は2006年に廃止されたが近年、日本や欧州を中心に、企業が自主的に納税額などを開示する動きが出始めた。
この間、税を巡る世論は世界的に変化した。企業の税逃れが問題視され、不買運動も起こった。極端な節税による利益の最大化は必ずしも正義とされず、適切な納税が社会的な責務として重視されるようになった。
税の透明性が求められる傾向が強まれば、税情報の開示が少ない企業は株主や消費者らに「やましいのではないか」と勘繰られかねない。逆に税情報を明確に説明できる企業は信頼されるだろう。今や日本を代表する企業のSBGの、今後の対応が注目される。
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