アジア
ヨーロッパの拡大覇権主義により世界中が植民地化され、搾取を逃れたのは日本だけでした。欧米の想定より早く富国強兵したおかげでロシアにも戦争で勝ちましたが、白色人種は青天の霹靂というか、猿の惑星の如く見えたのでしょう。黄色いサルが自分たち白人の地位を脅かすとは考えもしませんでした。ルーズベルトによって仕組まれた大東亜戦争は日本にとって安全保障に過ぎず征服戦争ではありません。戦後教育によって日本は侵略戦争をしたと誤解したまま無知な大人になっている方が多いのですが、それは歴史ではなく捏造です。確かに一部の軍部が暴走した事実はありますが、いかなる時代、いかなる国家でも戦争というのはそういうものです。欧米に侵略されたアジア諸国が自立することが日本の安全保障につながるという概念は、戦前も今も同じです。それをアメリカがようやく理解し始めた今日です。
【オピニオン】中国の覇権抑止にはアジア諸国の強化を
――筆者のウォルター・ラッセル・ミードは「グローバルビュー」欄担当コラムニスト
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対中政策に関する米国内の論議が熱を帯びてきている。先月には、外交誌フォーリン・アフェアーズに「米国は国力が衰える中で東アジアへのコミットメントから身を引くべきだ」とするチャールズ・グレイサー氏執筆の論文が掲載された。またナショナル・インタレスト誌からアトランティック誌までさまざまな有力誌上では、逆の理由からアナリストらが、米国は対中政策を穏健化すべきだと主張している。彼らが指摘する理由は、中国は張り子の虎であり、これほどの注目には値しないというものだ。さらに迷えるリベラル派の中には、短気な対中強硬派がアジア系米国人に対するヘイトクライムを起こしているとして、国内のコミュニティー構築のために米国の対中政策の穏健化を求めている者もいる。
こうした揺り戻しの動きは理解できる。米国内の議論は、極めて進んだ段階へと極めて速く突き進んだ。外交問題評議会会長のリチャード・ハース氏は、台湾が中国の攻撃を受けた場合、米政府は台湾を防衛するという公式のコミットメントを示すべきだと主張した。またジョージ・ソロス氏は、中国の習近平国家主席について、開かれた社会が直面する最も危険な敵と呼んだ。そしてアントニー・ブリンケン米国務長官は、前任者のマイク・ポンペオ氏の主張を踏襲し、中国政府のウイグル族への扱いは「ジェノサイド(民族大量虐殺)」に当たるとの認識を示した。
米国の対中政策といった影響の大きい問題は、徹底した議論が必要だという点でハト派の指摘は正しい。対中政策がコストと影響に関する現実的な評価に立脚していないならば、米国がコミットした政策が厳しい状況を迎えた際に、国内の有権者と海外の同盟諸国が支持をためらうものになりかねないという点でも、ハト派の考えは正しい。
しかし、今日の米国の対中政策に関する議論で最大の問題は、それが強硬過ぎることではない。議論が単純な枠組みにはめられ過ぎていることだ。それは戦争の危険を過大に評価し、米国政府が平和裏に目的を達成する可能性を過小に評価するほか、中国政府の国力を誇張し、中国が突き付ける問題をとめどなく拡大するほぼ打倒不能な脅威へと膨らませる。長期的に見ると、米国の見通しは多くのタカ派およびハト派が理解しているよりずっと明るいが、まさにその理由から、短期的な危険は一部のタカ派が認識しているよりも大きい可能性がある。
米国が衰退しつつある覇権国であり、必然的に台頭してくる中国を恐れているという単純な枠組みは間違っている。中国はアジアの支配者になることを運命付けられているわけではない。1930年代の日本と同様、中国は長期にわたって同国の優位性を確保できるよう、一時的な好機を利用して地域を変える誘惑にかられているに過ぎない。
日本はアジアで初めて近代的な工業を発展させた大国だった。日本の戦略家はこれによって得た優位性がいつか消え去ることを理解していた。全般的に残りのアジア諸国、とりわけ中国が十分に発展すれば、日本の優位性はなくなるという見方だ。しかし、中国の弱さ、植民地帝国の衰退、1930年代の米国の孤立主義的な受け身の姿勢を見た日本のタカ派は、アジアの支配を試みるという致命的な判断を下した。
今日の中国は、当時の日本と同様、急速な発展によって、アジア、そして、世界の支配権が手に届きそうに見えている状態だ。しかし、中国は偶然な瞬間に恵まれたのであって、時代に恵まれたのではない。インド、インドネシア、ベトナム、フィリピン、タイ、バングラデシュとミャンマーの全てが潜在能力を発揮するに伴い、台頭するアジアは、どんな国、つまり、たとえ中国でさえも、支配や制御ができないほど大きくなるだろう。米国の目標は、中国をつぶすことではなく、アジアの成長を促進することであるべきだ。
米政府は短・中期的には、覇権を可能にする機会を中国に利用させないよう同盟諸国と協力し合う必要がある。中国にはタカ派がいるが、指導部は現実的である。軍国化の道はどこにも通じないと中国政府が考えている限り、平和は維持される公算が大きい。中国の可能性の機会をしっかりと閉じておく力を持つ同盟関係の中で、要の役割を演じられる国は米国以外にない。ハト派はこの現実を好まないかもしれない。しかし、彼らは失敗がもたらす結果はさらに好まないだろう。
長期的には見通しは明るい。米国は、台頭を止めがたい中国に対抗する果てしない戦いを運命付けられているわけではない。その反対である。他のアジア諸国が台頭すれば、中国が優位性を得る可能性が縮小し、インド・太平洋地域における米国の同盟諸国は、平和を維持する上でより多くのコスト負担が可能になるだろう。
撤退、融和策を含めいかなる措置もリスクフリーではない。中国が自国の覇権獲得の可能性が閉ざされつつあると判断すれば、同国のタカ派は覇権獲得のため戦前の日本型の性急な行動に訴える可能性がある。米国とその同盟諸国はこの動きを食い止めなければならない。長期的にみて、アジア諸国が台頭する中で米国が同盟関係を維持することは、米外交担当者の創造力を試す複雑なモラル面および現実面での課題をもたらすだろう。「一帯一路」構想から貿易政策、技術標準に至るまでさまざまな問題について、関与と競争を適切に取り混ぜた対中政策を見いだすことは難しい。
しかし、大きな構図は明確である。アジアの繁栄が、米国が直面する中国問題への解答となる。アジアの人々および諸国は独立した状態と豊かさを求めている。米国の仕事は、この「アジアの夢」の実現を手助けすることだ。
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