温度差

残念ながら大谷君が右ひじの靭帯損傷。日本では連日大谷君の活躍を報じ、日本の野球ファンはスーパーマンの如く投打で活躍する大谷君を讃えていますが、現地のアメリカでは違います。勿論、今やメジャーを代表する選手の大谷君ですから‟ある程度の知名度”はありますが、ベースボールという競技自体に人気が無いのです。

アメリカでの興行収益を見ると、1位がNFLなのは日本の皆さんも理解しているでしょうが、2位はカレッジ・フットボール、3位がNBA,4位がMLBです。カレッジ!?と思う方もいるでしょうが、全米のトップクラスの大学のフォットボールチームが稼ぎ出す金額は、一つの大学で日本の12球団のNPBが稼ぐ金額を遥かに凌ぎますし、NCAAのフットボールの収益は単年で日本のNPBの50年分に上ります。

では、なぜここまでの差がつくのか。人口では説明がつきません。アメリカ人の平均年収は日本の3倍!!ですが、収入でも説明がつきません。10万人以上の、中には15万人収容のスタジアムが毎週末満杯になるのです。「フットボール州」と呼ばれるようなフットボールの人気が高い州の高校も日本のプロ野球球団より稼ぎます。たかが高校生ですよ。高校のフットボール部が日本のプロ野球より稼ぐというような事実を報道すれば、何故、オリンピックでもアメリカは強いのかがわかります。

例えば、先日慶応高校の優勝で終わった甲子園大会。これをアメリカ流に経営すれば、直ぐにプロ野球の収益を超えることは可能です。朝日新聞やNHKに牛耳られ「高校生らしさ」や訳の分からない高野連の御託に引きずりまわされることになれた日本人でも、アマチュアの選手が稼ぐことの正義がわかります。チーム運営、装備備品、遠征や寮での食事など、お金は有ればあるほど運動選手のレベルは上がります。そう、スポーツというコンテンツはアマもプロもなく優良コンテンツで、そこで出てくる選手は幼いころからプロ意識が植えつけられるのです。

アマチュアや高校生が稼ぐことへの是非を問う声も多いでしょうが、未だにWBCでの優勝が持ち上げられたりしているのを見ればわかるように、勝たなければ得るものが無いのがスポーツです。全ては勝利のため、勝利はチームを支える地域社会やファンのためというプロフェッショナルな考え方をアマチュアの選手が持てるようになれば、日本のスポーツ界も変わっていけるでしょう。

因みに、NCAA所属のスポーツ団体は、大げさに言えば星の数ほどありますが、多くの大学のフットボールチームの収益が、全ての競技の運営費を稼ぎ出しますので、フットボールが強くなくては、その大学のほかのクラブも弱くなるのです。

そういう構造の中でNFLに入れる選手は万に一つの確率で選ばれ、関係者や地域の期待と誇りを背負います。博士号を持つ選手も多く、医者、弁護士、政治家、企業経営者、軍人に止まらず、学者となり研究に勤しむ引退した選手もいます。そういう自分を育ててくれた地域社会に対し「自分には責任がある」と考えることができる選手が多いのです。自ずと、自分の事だけを考えていたらいい日本の運動選手と行動規範が変わってきます。

大谷君の発言で、「ご飯を食べに行く、お酒を飲みに行く、アレコレしたいことがある。そんなことで優勝やトップに立てるわけがない」と言っていたそうです。問題を起こすプロ野球選手に爪の垢を煎じて欲しいものです。

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