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台湾は日本の縮図、同船だと言われています。日本にはチャイナや韓国、北朝鮮のスパイ、利益のため踊らされるものなど多数いますが、台湾には蒋介石以来、大陸から渡ったシナ人やスパイが日常を装って存在しており、様々な工作活動をしていますから、台湾の取り組みは、日本のみならずアメリカを筆頭にする西側諸国が大いに学ぶべきものがあるのです。下記はWSJの記事で、いかにして台湾はチャイナの浸透工作、フェイクニュースから自衛しているのかというコラムです。かつての日本は新聞やテレビを使い簡単に国民を欺いてきました。現代はSNSやネットが猛威を振るいます。
中国の偽情報にどう対抗、台湾の巧妙な防御策
西側諸国が台湾の取り組みに注目
【台北】ナンシー・ペロシ米下院議長の訪台を受けて、中国はミサイルを発射したほか、軍事演習を実施。さらには台湾海峡に戦闘機を飛ばした。
だが、台湾当局はペロシ氏の搭乗機が降り立つ前から、中国による一段と巧妙な攻撃から市民を守っていると話していた。偽情報を拡散して人々に恐怖を植えつけようとする作戦だ。
そうした情報工作に対する台湾の防御戦術は、ここにきて西側の当局者やネット専門家の高い関心を集めている。マーク・エスパー元米国防長官は7月に訪台した際、台湾のデジタル担当相と偽情報対策について協議した。
エスパー氏は帰国後、「非常に効果的なようだ。学んだ教訓を持ち帰る」と述べた。
世界の偽情報に関する年次報告書を作成するスウェーデンの組織「V-Dem」によると、外国勢力による偽情報工作で、台湾は9年連続で世界最大の標的になったと指摘されている。台湾の当局者や専門家は、攻撃の大半は中国によるものだと話している。
台湾軍は今月、誤情報や偽情報に関する事例を270件余り特定したと明らかにした。台湾市民の士気をくじき、当局に対する市民の信頼を損ねることを狙った中国の情報工作の一環だとしている。
中国政府で台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室はコメントの要請に応じていない。
偽情報に対する台湾の防御の最前線はファクトチェック(事実確認)を担当する非営利グループだ。ハイテク企業が開発したツールを駆使して当局の関係機関と緊密に連携しながら、偽情報を特定して拡散を防ぐ役割を果たす。
ペロシ氏が台湾訪問を終えた翌日、2100万人の定期利用者を抱える対話アプリのラインでは、中国政府が8月8日までに台湾在住の本土市民を退避させようとしているとのうわさが出回った。中国の侵攻が迫っていることをにおわせる動きだ。その根拠として、救出の方針を伝える字幕が映し出された中国国営テレビのスクリーンショットのようなものが投稿されていた。
事実確認を行うライン開発のチャットボットがファクトチェック組織「MyGoPen」に、うわさについて警告を発した。団体の名称は、現地の言葉で「二度とだますな」を意味する異形同音異義語だ。
MyGoPenの創設者、チャールズ・イェ氏は、7人で構成するチームを動員して国営テレビの画像の検証に当たらせた。その結果、事実ではないことが判明し、ライン、グーグル、フェイスブックの現地オフィスに報告。それを受け、各社が拡散を防ぐ対策を講じた。
台湾で対中国政策を担う大陸委員会は、うわさは虚偽であるとの声明を発表し、警察に情報源に関する調査を依頼。警察は翌日、スクリーンショットを投稿したのは本土の女性であることを突き止め、台湾市民の間にパニックを起こすことを狙ったとの見方を示した。
台湾で悪質な情報の特定・法執行を担当する機関によると、2019年8月以降、900件近い偽情報工作について正式に調査し、200件は訴追に至った。また、台湾当局は偽情報拡散に対する法的な処罰も厳格化した。
ハイテク企業も台湾当局と連携している。アルファベット傘下のグーグルはこれまで110人以上の当局者や議員、関係者らを対象に、リバース画像検索など偽情報対策ツールの研修を行った。昨年には、事実検証で定評のある台湾の団体「ファクトチェック・センター」に100万ドル(約1億3700万円)の資金支援を行った。
ラインは台湾で「デジタル・アカウンタビリティ・プログラム」に3年で約500万ドルを投じた。これにはユーザーに不審な投稿について注意喚起するチャットボットやファクトチェックに関する5万件以上のデータベースなどが含まれる。
ライン台湾部門のロジャー・チェン最高経営責任者(CEO)は「ネット上の問題を解決するためには、ネットならではの方法でやる必要がある」と話す。「分散型の現象を一元管理的な手法で解決しようとしても時間と努力の無駄になる」
台湾当局の取り組みが西側で注目を集める一方で、域内では政府のアプローチを巡って批判も出ている。野党の政治家やメディア専門家の一部は、蔡英文総統が外国勢力の干渉をにおわせながら、自身が気に入らない政治的なメッセージにも「偽情報」のレッテルを貼って、政治的な議論を妨げていると主張している。
総統の事務所はコメントを拒否。その上で、中国が情報工作を通じて台湾を混乱に陥れようとしていると警告した8月4日の蔡氏のビデオ演説に言及した。
グーグルのニュースラボでアジア太平洋地域を統括するジェイ・リュウ氏は「誤情報・偽情報について話題になることは、以前はあまりなかった」と話す。「しかし、今では多くの人が日常的に使っている」とし、台湾のメディア・リテラシー(メディアを読み解く力)への取り組みを評価した。
台湾は言論の自由を守りながら、偽情報に対して適切に対処している。カナダのシンクタンク、マクドナルド・ローリエ研究所の上級研究員で、偽情報対策を促進する団体「ディスインフォウオッチ」の創設者マーカス・コルガ氏は昨年、執筆した政策論文でこう指摘している。
「台湾から得られる教訓は全世界で通用する」と言うコルガ氏。「何より、この脅威に対して切迫性を持って取り組む台湾の姿勢にならう必要がある。ここで手を打たず、先延ばしするほど、問題は悪化する」
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