アメリカでも非難囂々
昨日のニュースの続きです。次の選挙後はFBIとCIAは大量の失職者が出ると予想できます。まあ、中露のスパイも数千人入ると言われているので(日本も同じ)それも良いんじゃないでしょうか。
【社説】FBIの危険なトランプ邸捜索
米国を危険な道に導くガーランド司法長官
2022 年 8 月 10 日 13:56 JST
米連邦捜査局(FBI)が8日、ドナルド・トランプ前大統領の邸宅「マールアラーゴ」を予告なしに家宅捜索したことは、誰にとっても歓喜すべきものではない。司法省は、自身が抑制できず、理解できないかもしれない政治的な怒りを引き起こしている。同省と米国にとってのリスクは、トランプ氏にとってのリスクと同じくらい大きい。
既に誰もが知っているように、FBIによる大統領経験者に対するこの種の法執行行為は前例のないものだ。今回の家宅捜索には、犯罪捜査において相当な理由を示す令状が必要だった。司法省はメディアにリークされた内容以外に詳細を明らかにしていないため、FBIが何を探していたのかを判断するのは困難だ。
リークされた情報によると、家宅捜索は機密文書の不適切な取り扱いや大統領記録法違反の疑いに関連しているという。もしそれが本当なら、家宅捜索は検察当局によるやり過ぎであり、はなはだしい過ちのように思える。文書をめぐる問題は通常、交渉によって解決される。トランプ氏と国立公文書館の意見の相違はそうした対応がなされていた。
トランプ氏は既に15箱分の文書を返却したが、国立公文書館は前大統領が持つべきでない機密資料を保有していたかどうかを知りたがっている。これがFBIの家宅捜索につながったように見えるが、なぜこの問題が協力的なやり方で解決できなかったのか、あるいはせいぜい召喚状によって対処できなかったのかは明らかでない。
今回の件で家宅捜索を行えば、ヒラリー・クリントン氏が2016年大統領選前に機密情報の扱いを誤った件と比較されることになると指摘する声は司法省内になかったのか。トランプ氏が即座に指摘したように、クリントン氏が訴追されることはなかった。トランプ氏の罪が国家安全保障に深刻なリスクを及ぼすものでない限り、半数の米国民はこの捜索を不平等な正義の一例だとみなす可能性がある。
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FBIに関しては、これが全てではないかもしれない。複数の報道によると、司法省は2021年1月6日の連邦議会襲撃事件について大陪審のための捜査を開始しており、トランプ氏はその対象である可能性がある。1月6日事件について調査している下院の特別委員会は起訴を支持しており、メリック・ガーランド司法長官には政界とメディアからトランプ氏の起訴を求める強い圧力がかかっている。FBIの家宅捜索には1月6日事件に関連する証拠を見つける狙いがあったのかもしれない。
これまでに公になっている証拠に基づくと、1月6日事件でのトランプ氏の起訴は法的に無理があるだろう。政治的責任は刑事責任と同一ではない。われわれの考えでは、トランプ氏があの日に議会議事堂で起きた暴力に加担した刑事責任を示す証拠がなくてはならない。
この件には本質的に政治的な側面があるだけに、大統領経験者を起訴するための立証責任はとりわけ大きい。対立する政党の政権ならなおさらだ。その証拠は、コロンビア特別区の12人の陪審員を納得させるのに十分であるだけでなく、米国民の過半数を納得させるのに十分であるほど、圧倒的なものであるべきだ。
トランプ氏とFBI・司法省との間にはあつれきの歴史がある。2016年大統領選をめぐるロシア疑惑の捜査は、FBIの手続き乱用および国民に対する欺瞞(ぎまん)という点で大失策だった。現在のFBI長官であるクリストファー・レイ氏は、ひどかった前任者ジェームズ・コミー氏の後任としてトランプ氏が指名したが、FBIは依然として深刻な信頼性の問題を抱えている。
中間選挙までわずか約90日というタイミングで行われたマールアラーゴの家宅捜索も、政治的な疑惑を高めるものだ。民主党は中間選挙の選挙戦でトランプ氏を前面にさらしておきたいと望んでおり、1月6日事件を巡る下院特別委員会の活動が秋に向けて続いているのも、それが理由である。
トランプ氏に対する起訴・裁判が順調に進むと考えている者は、予想外の展開に直面することになる。何百万人もの支持者たちは今回の家宅捜索について、トランプ氏が主張する「ディープステート(闇の政府)」の存在が裏付けられたとみるだろう。支持者たちがどのような反応をするかは誰も分からない。ガーランド氏はこうしたことを全て考慮したのだろうか。
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長期的に見て一層悪い点は、これが前例となり、報復を招く可能性が高いことだ。1人の大統領経験者を訴追するというルビコン川を渡れば――特に訴追の基となった罪状と証拠が説得力を欠くものであれば――将来の全ての大統領が標的になる。トランプ政権下で2人目の司法長官を務めたウィリアム・バー氏が、極めて明白な犯罪の証拠がないまま政治家の起訴を求める圧力に抵抗したのは、賢明だった。次の共和党政権の司法長官はバー氏ほど慎重にはならないだろう。
民主党は、起訴がトランプ氏に与える影響についても計算違いをしている可能性がある。FBIによる家宅捜索だけでも、トランプ氏の大統領選再出馬の可能性を高める。疑念を晴らすことだけがその目的だとしてもだ。トランプ氏は「殉教者」として大統領選に臨むだろう。彼と決別したいと考えている共和党員でさえ、政治的訴追のように思える動きに反発するかもしれない。
こうした状況は、過去6年間の有害なパターンを一層深刻化させる恐れがある。トランプ氏は政治規範に反していると非難され――非難が公正な場合もあれば、そうでない場合もある――、左派勢力も対抗して政治規範を破る。二極化がさらに進み、公的機関や、政治対立の平和的解決に対する国民の信頼は、一段と損なわれる。
FBIの家宅捜索は、ガーランド氏がトランプ氏を追い詰め、起訴する決意を固めていることを示しているのかもしれない。そうだとすれば、ガーランド氏は米国を危険な道に引き込もうとしている。一つの国には破滅の原因が多くあるが、米国でその限界を試したい者はいないはずだ。
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