どの口が言う

きしださんは、ロシアのサハリン2から撤退しないと発表しましたが、日本のマスコミは下記のような事実を報道していません。


ロシア産ガス、岸田首相の地元にとっても大問題

広島ガスが供給するガスの約半分はロシア産

2022 年 3 月 29 日 12:36 JST

 【東京】ロシアのウクライナ侵攻に伴う世界的な危機は、日本の岸田文雄首相の地元の危機でもある。広島県の岸田氏の選挙区民が、夕食の支度などでロシア産ガスを頼りにしているからだ。

 日本と欧州諸国は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナ戦争開始後に実施した対ロ制裁措置の対象から、同国産天然ガス・石油を除外した。これにより、プーチン氏の主要な外貨収入源が維持されている。岸田氏は、突然供給が断たれれば、日本のエネルギー安全保障が危機にさらされると主張する。

 岸田氏の選挙区がある広島県は、ロシア産エネルギーの供給が断たれた場合、特に深刻な影響を受ける。広島ガスが供給するガスの約半分はロシア産で占められている。日本の他地域と比べて、この割合は非常に大きい。

 ロシアと世界経済の間にはさまざまな結び付きがあるため、民主主義諸国の指導者が自国への悪影響を避けつつ、プーチン氏のウクライナ侵攻を罰することがいかに難しいか――広島のケースはその一例だ。ドイツのオラフ・ショルツ首相は、ロシア産エネルギーの輸入契約について、当面破棄するつもりがないことを明らかにした。契約を破棄すれば、欧州全体がリセッション(景気後退)に陥る恐れがあるというのがその理由だ。

 西側諸国の企業は、ロシア国内で化粧品やアイスクリームといった商品の販売を続けている。また、日本政府が株式の3分の1を保有する日本たばこ産業(JT)は、ロシアでの大規模なたばこ事業を維持している。

 日本は、エネルギー資源の大半を輸入している。その中には、日本のすぐ北方に位置するロシア極東地域のサハリン島から供給されている天然ガスも含まれる。岸田氏は、3月16日の記者会見でサハリンのガス田について質問された際、「これはエネルギー安定供給上、わが国にとって重要なプロジェクトであると認識いたしております」と語った。

 日本は全体で天然ガスの約9%をロシアから入手している。だが、広島ガスとロシアとの関わりはより深く、同社は2006年に結んだ契約に基づき、08年から28年までの間、サハリンから毎年最大21万トンの液化天然ガス(LNG)を輸入することになっている。広島ガスによると、契約は同社が毎年必要とするガスの約半分を占める。

 広島ガスの広報担当者は、サハリンからの供給が通常通り行われていると語った。同社は状況を注視し、ロシアのガス供給が停止した場合の代替策を練っているという。

 広島ガスの本社は、1990年代から岸田氏が選出されている選挙区にある。2009年から、当時の広島ガスの深山英樹社長(その後会長に就任)は毎年24万円を与党自由民主党広島県支部連合会の第一選挙区支部に寄付していた。岸田氏は第一選挙区支部長を務めている。

 深山氏は2017年6月に会長を退任すると、献金をやめ、新会長の田村興造氏が年に同額のペースで献金を始めた。献金は入手可能な直近の記録で2020年まで続いている。その年に5万円以上を献金した個人は3人のみで、田村氏はその一人だった。

 広島ガスおよび岸田氏の代表者は、献金は個人的なものであり、同社のビジネスとは関係ないと述べている。献金は法的な制限の範囲内であり、適正に報告されている。同社は田村氏へのコメント要請に応じなかった。田村氏および深山氏の名前で登録のある電話番号にかけたが、応答はなかった。

 日本は2021年、ロシア産ガスに3700億円余りを支払った。それを現在の非常に高いスポット価格で購入しなければならないとすると、さらに巨額の費用がかかるだろうとアナリストは指摘する。

 ライスタッド・エナジーのアナリスト、カウシャル・ラメシュ氏は「経済的影響は極めて大きいだろう」と指摘する。同氏はまた、サハリン産ガスは日本の港湾にわずか2日間で到着し、利用しやすいとの見方を示した。米国から出荷される場合、多くは1カ月以上を要する。

 東京の一般的な家庭が支払う電気料金は既に、2021年初めに比べて約3割上昇している。火力発電所が使用する天然ガスなどの燃料価格が高騰しているためだ。

 岸田首相の側近らは、日本による購入がプーチン氏の戦力の大きな支えになっているとの見方を否定した。側近の一人は、日本の購入額は欧州諸国が支払っている額の10分の1以下だと語った。この側近は、日本が契約を解除すれば、中国など他の買い手がロシア産ガスの購入に動き、その額はおそらく日本が契約していた価格よりも高くなるだろうと指摘。ロシアへの制裁というよりも日本への制裁のようになると話した。

 日本のメディアはこうした見方におおむね共感している。共同通信の井手壮平氏はこれに異議を唱え、日本は一定の節電によりロシア産エネルギーなしでもやっていくことができると指摘。「多大な犠牲の上に築かれた今日の国際秩序を守る上で、それは払うべきコストと言えないでしょうか」と同氏は記している。

 エネルギー貿易は日本とロシアにとって数少ない協力分野の一つだ。両国は第2次世界大戦末期にソ連軍が占領した諸島をめぐって長期間にわたり対立している。安倍晋三元首相はプーチン氏と20回以上にわたり会談したが、合意を目指した努力は実を結ばなかった。ロシア外務省は3月21日、日本による対ロ制裁を理由に挙げ、平和条約締結交渉を中断すると表明した。

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