アメリカは病んでいる
アメリカは左派が殆どの政府機関を牛耳っていますが、FRBだけは手を出せない領域でした。下記はWSJの記事で、堂々と社説でホワイトハウスが目指す人事に反対しています。アメリカ左派はイデオロギーの塊で国益を棄損すると言っているのです。FRBの金融政策は世界中の金融政策に影響を与えます。チャイナが虚勢を張ろうが人民元の為替取引はたったの2%に過ぎず、60%を超えるドル決済とは比較にもなりません。共和党は中間選挙までに手を打とうとする民主党の政策を止めるように画策していますが、共和党だけでなくエネルギー産業や自動車産業などを抱える地盤を持つ民主党議員も離反するよう仕向けている最中で、他人事ながら、日本の政治よりずっと面白い状況です。
【社説】ラスキン、クック両氏はFRB職務に不適任
2022 年 2 月 17 日 13:14 JST
ジョー・バイデン米大統領は、連邦準備制度理事会(FRB)理事らの構成を多様化しようとしている。その多様化は、人種と性別に関するものだけではない。FRBがイデオロギー面での多様性をもっと取り入れることは確かに可能だ。しかし、バイデン氏が選んだ2人のFRB幹部候補は、環境と人種を含めFRBの任務を事実上書き換えたいと考えている。それゆえ、この2人はFRB幹部として不適任だ。
上院銀行委員会の共和党議員らは15日、バイデン氏が選んだFRB幹部5人の指名承認の採決の場に参加せず、定足数未達とすることで採決を阻止した。共和党議員らは、ジェローム・パウエルFRB議長の再任、フィリップ・ジェファーソン氏の理事指名、ラエル・ブレイナード理事の副議長指名の承認の棚上げは求めていない。しかし、サラ・ブルーム・ラスキン氏の副議長指名と、リサ・クック氏の理事指名については、深刻な懸念があるとしている。民主党はこうした懸念を一蹴している。
まずラスキン氏について見ていこう。ラスキン氏は、FRBが化石燃料からグリーンエネルギーに資本の振り向け先を変えさせるべきだと要求している。彼女が金融監督担当副議長になれば、金融システムの監督面で大きな力を持つことになる。気候変動絡みの規則に関するラスキン氏の考え方について、進歩派は、パウエル議長と変わらないと主張しているが、それはうそだ。
パウエル氏は最近何カ月かの間に、環境対策面でのストレステストを支持することで、左派の敵視姿勢を弱めようとした。しかし、気候変動問題に関してパウエル氏がこれまでに表明してきた意見はあいまいであり、同氏はどのみち自身の発言内容を信じていないと民主党議員らは考えている。一部の民主党議員がパウエル氏の議長再任に反対しているのはこのためだ。
化石燃料分野への資金の流れを抑制するため、ラスキン氏はストレステストや慎重な規制をFRBが導入すべきだとの要求を多くの場で公表してきた。彼女は昨年9月には、国際的NPO「プロジェクト・シンジケート」への寄稿の中で「情報公開、信用へのアクセス、リスク要因のプライシングなどに関する規則変更は、グリーンな方向への迅速で適正な移行の助けになる」と主張していた。
同氏は指名公聴会で、「FRBが勝者と敗者の選択に基づいて信用に関する判断を下したり、その配分を決めたりするのは不適切」であることを認め、上院の穏健派をなだめようとした。しかし、左派がFRBに同氏を推している理由は、同氏が気候変動政策を擁護しているからだ。
そして、コロラド州に本拠を置くフィンテック企業リザーブ・トラストに関する同氏の行いがある。他のフィンテック企業は、銀行の仲介なしに資金を移動できるよう、FRBにマスター口座を開設しようとしていた。リザーブ・トラストはそれを取得した唯一のノンバンク・フィンテック企業のようだ。しかもそれは、リザーブ・トラストの取締役だったラスキン氏がカンザスシティー連銀に電話をかけるまで実現しなかった。
リザーブ・トラストの会長を務めていたデニス・ジンゴールド氏はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)への投書で、FRBの承認が1989年に改正された「コロラド州銀行法に完全に」依拠しているとし、ラスキン氏はそれと全く関係ないと書いている。しかし、リザーブ・トラストの申請は当初、2017年6月に拒否されていた。30年前の銀行法改正は、FRBの姿勢が変わったことの説明にならない。ワイオミング州は最近、特定のフィンテック企業が預金保険の対象になるよう銀行法を改正した。しかし、カンザスシティー連銀は、ワイオミング州のフィンテック企業2社の申請を1年以上にわたって保留にしている。この差は何なのか。
カンザスシティー連銀は、リザーブ・トラストのビジネスモデルの変更とコロラド州の法律の解釈を理由に挙げている。しかし、同連銀はその説明を裏付ける文書を上院に提出するのを拒否している。ラスキン氏は、電話をかけたことを覚えていないと話している。同氏に誠実さの欠如が疑われることは、銀行規制と気候をめぐる同氏の見解に加え、同氏が監督任務に適さない理由があることを浮き彫りにする。たとえ、金融業界や規制当局での豊富な経験があるとしてもだ。
共和党はクック氏についても、金融政策の専門性を欠いているとする、もっともな懸念を示した。同氏の学術上の知識はほとんど大半が人種に重点を置いており、構造的な人種差別が全ての経済問題の根源だと考えているように思われる。似たような見解を持つ人々がいる大学教員室の方が同氏に馴染(なじ)むことは間違いない。
シカゴ大学教授(経済学)で「ジャーナル・オブ・ポリティカル・エコノミー」の編集長を務めるハラルド・ウーリッヒ氏は先ごろ、警察予算削減の要求運動を批判した同氏に対し、クック氏がどのように編集長解任要求を行ったのかについて、本紙寄稿欄で詳しく述べた。クック氏は「これは50年前の1970年代、ジム・クロウ(人種差別主義)の南部の大学学部で差別撤廃が行われていた時、私の母が受けた人種ハラスメントの類いのものである」とツイッターに投稿した。クック氏は「言論の自由には限界がある」と指摘した。連邦公開市場委員会(FOMC)での自由な議論もこれまでだ。
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左派は、最大限の雇用と物価安定だけではなく、黒人の失業率に基づいてFRBが金融政策を策定するよう要求していることから、これら全てのことに留意する必要がある。これは、インフレをあおるリスクがある場合でも、FRBは長期間にわたり金利を低水準に維持しなければならなくなる可能性があることを意味する。
民主党と少数の共和党穏健派は、トランプ氏がFRB理事に指名したジュディ・シェルトン氏が金融物価ルールを支持しているとの理由を嫌い、指名を拒否した。しかし、現在、左派はラスキン氏とクック氏の真に危険な金融政策上の見解を正当化しようと試みている。進歩派は米国のほとんどあらゆる機関を支配しており、FRBの運営を手にするまで休むことはないだろう。
もう一つは、今日、ホワイトハウスはイランとの合意間近だと発表しました。いったい何をするつもりなんでしょうか。下記は、サウジがアメリカの言うことを聞かずロシアと共闘しているという記事です。長い年月をかけ親米のサウジアラビアがアラブの取りまとめ役としてアメリカを支えてきましたが、イランはアラブではありません。アラブでないイランは、民主主義の敵となるテロ組織への支援を続け、中朝とも親密です。日本が韓国へのホワイト国特権をはく奪したのは、国防製品が日本から韓国を経由してイランに流れ、それがチャイナと北朝鮮へ流れていたからです。下記も記事によれば、今回のイラン合意は核開発すら止められないもので全く意味がありません。高騰している原油価格が5%ほど下がる程度です。それならサウジの要望を飲んでサウジに増産を迫る方が理にかなっていますし、だいたい、国内のシェールオイルへの規制をトランプ同様に撤廃すれば20%は価格を押し下げられるんですから産油国の動向など関係ないはずです。我が国の岸田さん率いる政府も、天然ガスをEUへ融通するより、バイデンに『シェールオイルを出せ!』といい、ガソリン税を2年間凍結すれば、意味不明な補助金など出さずに50円/Liter程度の抑制ができるのです。こういうバカな政府は本当に要りません。基本、官僚はバカなんです。なぜ何時もマスコミなど潰れたらいいと公言すのかというと、規制の権化だからです。規制で守られているところにイノベーションは無く、どんどん労働者も劣化します。規制を作る官僚組織はタダの勘違い野郎で寄生虫でしかありません。日本もアメリカも、待たれるのは保守の政府です。
米国に逆らうサウジ、増産拒否の背後にロシア
2022 年 2 月 17 日 03:08 JST
原油価格の高騰とロシアによるウクライナ侵攻を巡る懸念がサウジアラビアにジレンマをもたらしている。供給拡大を通じて価格を抑え、欧米諸国を支援すべきか、それとも米国の要求を無視して、5年にわたる主要産油国ロシアとの取り決めを順守するか。
サウジは今のところ、ロシアと足並みをそろえる道を選んでいる。
ジョー・バイデン米大統領はペルシャ湾岸の産油国に対して、ガソリン価格の押し下げに向けて、生産量を増やすよう繰り返し求めている。米国民にとって、ガソリン価格は新型コロナウイルス禍の初期と比べて約2倍の水準に跳ね上がっている。増産要求はここにきて切迫性を増してきた。原油価格は足元、約8年ぶりにバレル当たり100ドルの大台突破が視野に入っており、ロシアがウクライナ国境付近に軍部隊を集結させている中、展開次第では一気に節目を上抜けしかねない状況だ。
それでもサウジは、石油輸出国機構(OPEC)内外の主要産油国で構成する「OPECプラス」が昨年合意した水準以上に生産量を増やすことはないとの立場を維持している。合意では、産油量を毎月日量40万バレル増やす取り決めだが、原油高の抑制にはほとんど寄与していない。
世界の原油供給の1割を占めるロシアにとって、原油高は国家財政を潤すとともに、ウクライナ侵攻に踏み切った場合に想定される西側諸国の経済制裁による打撃を和らげる役割を果たす。半面、米国にとっては、原油高はインフレを加速させるとともに、バイデン氏の支持率低下を招き、西側諸国が対ロシア制裁を効果的に発動できなくなる恐れがある。
サウジは原油価格を押し下げる能力を持っている。生産能力は最大で日量約1200万バレルだが、フル稼働状態にはなく、余剰能力があるためだ。現在の生産量は日量約1000万バレルで、あと3カ月でフル稼働に達する可能性がある。サウジが生産量を最大限に拡大する意向を示唆すれば、原油価格は下げに転じるとの見方は多い。
バイデン氏は先週、サウジのサルマン国王と電話会談し、「世界のエネルギー供給の安定確保」を含め、一連の中東問題について協議した。ホワイトハウスが明らかにした。サウジ国王は電話会談の直後、「歴史的なOPECプラス合意の役割」を強調し、合意を順守することが重要との声明を公表した。
国際エネルギー機関(IEA)のファティ・ビロル事務局長は16日、サウジの首都リヤドで開かれたエネ業界関連会議で、OPECプラスに増産を求めた。
だが、サウジのエネルギー相を務めるアブドルアジーズ・ビン・サルマン王子は会議に合わせた非公式の集まりで、増産要求を拒否。OPEC内で割当枠について再協議すれば、市場を安定させるどころか、かえってボラティリティーが高まるリスクがあると指摘した。
あるOPEC関係者は「サウジは米国とは同じ立場にはない」とし、「市場の沈静化に向けて、彼らが米国と協力する用意がないことは誰もが承知している」と述べる。
欧米の当局者は、ロシアの石油・ガス産業への制裁は今のところ検討されていないと話している。そうした措置を講じれば持続不可能な原油の高騰を招くと認識しているためだ。だが、ロシアの銀行やその他の業界を標的にした場合でも、エネ供給に支障が生じる可能性がある。石油・ガスを扱う市場関係者の間で、制裁対象国との取引はリスクが大きいとして避ける動きが広がると考えられるためだ。専門家の分析では、欧米諸国が検討している制裁措置により、世界の原油供給は約7%落ち込むと試算されている。
トランプ政権時代に国務省のエネルギー局責任者を務めていたフランク・ファノン氏は原油高について、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領にとって大きな追い風になると指摘する。制裁が発動されても、外貨準備の積み増しが可能になり、通貨ルーブルを支えるとみられるためだ。
「プーチンはかつてないほどOPECを必要としている」――ファノン氏はこう言う。
エネルギー供給を巡るサウジとロシアの協力関係にとって、ロシアによるウクライナ侵攻の脅威は初めての地政学的な試練となる。
冷戦時代は敵対していたロシアとサウジだが、ロシアを筆頭とするOPEC非加盟の主要産油国は2016年、生産量の調整に向けOPECと協調することで合意した。これにより、原油生産量で世界トップ3に入るロシアは市場で新たな影響力を手に入れ、世界最大の原油輸出国であるサウジにはロシアとの取り決めを順守する義務が生じた。
OPECプラスとの二人三脚が誕生した背景には、サウジの若きリーダーとして台頭したムハンマド・ビン・サルマン皇太子の存在がある。ムハンマド皇太子はジャマル・カショギ記者殺害事件や女性の権利向上を唱える活動家の投獄・拷問、サウジが関与するイエメン内戦の人道危機などの問題を巡り、欧米からの政治的な支援を失った。そのため、ムハンマド皇太子は中国とロシアとの関係を深める一方で、米国にはバイデン氏との直接会談など、ホワイトハウスがまだ応じていない要求を突きつけている。
さらにペルシャ湾岸のアラブ産油国では、中東における安全保障体制を巡り、米国への信頼が揺らいでいる。例えば、サウジは2019年にイランが仕掛けたとする攻撃で重要な石油施設が被害を受けたが、米国が軍事行動を見送ったことで不信感が高まった。
サウジにはロシアとの合意以外にも、原油供給の拡大に慎重な理由がある。サウジはそもそも世界の原油市場に増産を必要とするような需給バランスの不均衡はないとみている。足元の原油高騰は単にウクライナ情勢を巡る臆測が押し上げているにすぎないとの立場だ。OPECの報告書では、1-3月期(第1四半期)に世界で日量140万バレルの余剰分が生じると指摘されており、過剰供給への懸念も高まっている。
サウジはまた、過去のように市場の影響力を駆使して単独行動に出ることには慎重になっている。2008年には原油価格が過去最高となるバレル当たり147ドルに跳ね上がっても静観を続けたが、金融危機を受けて市場はその直後に崩壊した。
サウジ当局者は2008年のような原油高騰が起これば、再考する可能性はあると話す。原油需要を長期的に冷やしかねない水準まで価格が跳ね上がっていると判断すれば、方針を変えて増産に動くかもしれないという。
とはいえ、サウジが何を再考する必要があるかは分からない。脱石油経済を掲げるムハンマド皇太子の野心的なプロジェクトを実現するには原資が必要で、原油高による石油収入の増加はその支援になる。
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